リートの魅力・宮崎貴子さん
先日コンサートに足を運びました。
宮崎貴子さんとは、ハノーファーで一緒に勉強したお仲間。リートの世界にここ数年傾倒している話は聞いていたのですが、こうして演奏を聴かせていただくのはいつぶりだろう。
こういう仲間がいて、本当に私は幸せです。このプログラムすべて写したいくらい…訳詩はシューベルト、シューマン、ヴォルフは宮崎貴子さんが。その熱情と洞察深い言葉が並びます。小森輝彦さんも素晴らしかったです。
興奮と感動をいただいた。ので、聞かれてもいないのに、その感想を!
感想
感動が渦巻く…内在する表現の幅の広さに、心打たれ胸は締め付けられました
シューベルトで生き生きと描かれた心情や景色、ヴォルフでは傑作のギャグもきき、シューマンは奥底に眠る愛情と陰影を、リヒャルトは生きてるって素晴らしい、と思わせてくれる。
息のぴったりあったデュオでした。一つ一つ、創り出される世界観。めくるめく変わるその景色に、息を飲む暇がないほどでした。
圧倒的に。大人な世界・・・ 感嘆でした。
ベルリンでの歌曲体験
私が歌曲に惚れ始めたのは、ベルリンにて
シューベルトの水車小屋の娘を聴きに行ったとき、お隣の方が最後の曲で震え、涙を拭ってらっしゃった経験からかもしれません。
一観客の受けた感動に私も共感するものがあり、こういう世界を作り出せる歌曲の世界に憧れました。
歌曲の世界
作曲家の伝えることの、本当の、真の核の部分に触れる事ができる。そんな気がするのです。
詩は時にどちらの意味とも取れる、とかいうことがあるんですが、作曲家の厳密な解釈を音楽から読み取る…ことができる時があります(勘違いかもしれませんが)
どの詩を選んでいるかも作曲家次第。詩に感動し、共感し音楽を付けてると考えて良い。作曲家の脳内覗ける様なのです。
この日出会った、シューマンのリーダークライスop24 結婚の年に書かれた。ハイネの詩、7曲目鏡の様に輝くライン川。
黄金色の波とさざ波の様子…(中略)でも僕は知っているぞ、うわべはキラキラしていても、その内には死と闇が隠れていることを…(宮崎貴子訳)
この内なるグラデーションが見事に描写されます。
しかしやはりシューマンがこのライン川に投身自殺したことを知っている私達は、平静に聴くことはできません。
やっぱり、知っていたんだよね、そこに死と闇があること。と…
もう一つ。シューベルト 墓掘り男の郷愁は、この日の私に恐ろしく響いた。
無理ある世の中全てを表すようで。
運命よ、悲しい責務。俺はこれ以上無理だ!いつになったら鐘が鳴るんだ。生きるってことはあぁ重苦しい・・(宮崎貴子さん訳から抜粋)
墓へ行くことの熱望…シューベルトがどんな気持ちで共感したか、気になりませんか?
苦悩ばかりではない、もちろん愛情が一番多い、歌の世界
暗いものばっかり取り上げましたが。
シューベルトのブルックにて は3日ぶりに彼女に会いに行く様子が、可愛らしくて3日ってそんなっていうくらいの熱情。ヴォルフでは、え、今ここで殺人事件起こってるんだよねというところでめちゃくちゃ奇妙なワルツが現れたり!
文学そのまま読むより、感受性豊かな作曲家がつけた音楽、ついてたほうが絶対面白いです。とにかく歌曲の世界が今、とても良い感じです。
とっても大きな感動をいただきました。ありがとうございましt。
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