2021年のSpecial Chamber Concert

2021年もたくさんの企画をいたしました。このシリーズでお馴染みのメンバーを中心に、また新たな仲間も加わってくれ、豊な音楽を聴かせてくれました。

この企画をやってよかったなと思う瞬間がたくさんありました。特に、若い人を交えて企画をした11月、12月の公演では、コロナ禍で出番が減ってしまったり、大学に通えなかったりと、思うように生活ができなかった人たちにスポットライトを当てることにより、こういう自己表現の舞台が音楽家には必要不可欠なんだと改めて思いました。

 その若い人の気力により、私自身も活力を得られ、しっかりと勉強することもできました。

 Special Chamber Concertは室内楽の美しさや楽しさの魅力をより多くの方と共有したいと始めた企画です。 室内楽の究極のところは(私ら弦楽器奏者にとっては)『弦楽四重奏』と思っているのですが、それから派生している弦楽六重奏や、弦楽六重奏などは、割りかし分かりやすい分野だと思っているんです。 

 敷居を下げることなく、垣根は下げて。 そんな思いで大きな編成の室内楽も多く取り上げています。

 いろんな音があちこちから聞こえたらそれだけで、面白い。

 そんなことから大きな編成の音楽も始めたのですが、このコロナ禍でより多くの演奏家の演奏を聴く機会を得られたことも、嬉しいことでした。

ただ…感染症対策を練ること、開催の有無など間際まで決断できないことが多く宣伝の期間が著しく短くなり、演奏家のみで運営している私たちのコンサートでは集客が課題のポイントとなりました。 

 そして。

 実行委員長である私のごく個人的なことではございますが、出産を挟んだことで、一度世の中を離れ、ゆっくりと体と会話し過ごしていました。出産を終えたあとは元気に生まれた息子と、新たな音楽人生を歩む感覚で、コンサートを運営していました。 

数ヶ月ではありますが、音楽界を離れていたことで仲間の才能の素晴らしさに再度触れた時は、純粋に涙が出ました。10月の復帰公演では、彼らの音楽に対する愛情に、尊敬と憧れの気持ちに溢れました。

どれもとても心に残る、素晴らしい瞬間がたくさんあるコンサートが揃いました。こちらで少し、写真とともに振り返りながら紹介をさせてください。

Special Chamber Concert  vol.6 (京都)

2020年3月25日 出演者 京都弦楽四重奏団、中恵菜、辻本玲

Special Chamber Concertのコアメンバーでもある京都弦楽四重奏団を中心に、世界で活躍する若手演奏家を招き、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第11番「セリオーソ」とブラームス弦楽六重奏奏第二番を演奏しました。よりたくさんの方に聴いていただくこと、混雑を避けるための感染症対策もあり、1時間のプログラムを2回、公演しました。京都の多くのファンからのご支援もあり、入場者数は合計300人と、感染症前の入場者数と並びました。

 2020年12月25日に弦楽六重奏曲第一番を演奏しました。その対となる第二番公演でした。

中恵菜さん、辻本玲さんの▶︎出演者恒例インタビュー はこちらに!

Special Chamber Concert in TOKYO vol.3(東京)

2021年6月16日 出演者 植村太郎、清永あや、篠原悠那、古賀智子、中恵菜、朴梨恵、荒井結、辻本玲

東京で開催する第三回目。弦楽八重奏は、弦楽器のみで作り上げるほとんど最大の室内楽編成の作品を二曲、取り上げました。メンデルスゾーンとN.ガーゼの弦楽八重奏曲。それぞれの作曲家は子弟関係で、ドイツロマン派前期の爽やかで豊かなロマンチックな作風。8人という豪華な音は、それだけでも圧倒されるものがあります。 


感染症により、中止が相次いだ2020年は、世の中のクラシックファンからも嘆きの声が聞こえましたが、演奏家にとっても寂しさが募る年でした。

 国内外で活躍する弦楽器奏者に加え、森野開さんという新進気鋭の若手奏者を迎え、世代を超えた熱い音楽の会話を聴いていただきました。

 
この公演も、よりたくさんの方に聴いていただくこと、混雑を避けるための感染症対策、ホールの規制人数を考慮し、この公演も1時間のプログラムを2回、公演しました。 

Special Chamber Concert in TOKYO vol.4(東京)

2021年10月18日 出演者 植村太郎、大江馨、朴梨恵、今川結、荒井結、辻本玲、鈴木慎崇

Special Chamber Concert 実行委員会の実行委員メンバーでもある植村太郎考案の企画でした。

東京芸大で後進の指導に当たる植村太郎、NHK交響楽団で首席チェロ奏者に就任した辻本玲さんの二人が中心となり室内楽の醍醐味を共有しました。
 前半にはピアノ四重奏、後半には弦楽六重奏の大曲を。

演奏会の一部は動画公開しました。https://youtu.be/VfqP2P-och8

植村と20年近くデュオを弾く、ピアノの名手鈴木慎崇さん。

シリーズ初めての大江馨さん、今川結さん。演奏も、お人柄も。素晴らしい方々でした。

音楽の花束 vol.2 メリア・クァルテット

チェリスト木下通子さんの故郷・茨城つくばでの演奏会。Special Chamber Concertが主宰いたしました!

 小学校などを訪問する活動を軸に創設されたメリア・クァルテットの初めてのホール公演。子供からお年寄りまで、なかなかクラシックに触れる機会のない地域の方々に、様々な趣向を凝らしたプログラムを聴いていただきます。未就学のお子様もちらほら見えましたが、それぞれ真剣に聴いてくれていたのが印象的でした。 
 トークを交え、メンデルスゾーンの弦楽四重奏、ハイドンの弦楽四重奏などを演奏しました。 
 たった一度の演奏会を聴く機会が、思い出に残り、また聴きたいな、会場に足を運びたいなと思えるような演奏会にしたいと思い、皆で企画しました。

 ここでは公開しませんが、木下さんの作ったプログラムノート(曲目解説)がとても親しみ深く、クラシックの世界をより親しみ深く紹介できたのではと思います。

Special Chamber Concert in TOKYO vol.5(東京)

2021年11月24日 出演者 朴梨恵、松田龍

2021年6月1日に予定していたコンサートの延期公演。(緊急事態宣言により延期) 


Special Chamber Concert実行委員長の朴梨恵のヴィオラリサイタル。 若手ながらヴィオラのレパートリーを勉強されている松田龍さん、 ヴィオラの主要レパートリーであるヒンデミットの作品を中心に、『幻想』をテーマにプログラムを作る。 Special Chamber Concert東京では初めてのデュオリサイタルコンサートとなりました。

 今井信子先生、大島亮先生、草冬加先生のレッスンを受けたアルペジオーネソナタは、かれこれ1年半、二人で取り組んでいたことになります。…ようやく、ようやく日の目を浴びることができました。

 それでももちろん発見できることがあって、直前のリハーサルまで試行錯誤を続けていました。 最後は体力との勝負!挑戦のプログラムでした。

植村太郎門下によるベートーヴェンヴァイオリンソナタ全曲演奏会 vol.1

2021年12月24日 出演者 笠井文昭、金田拓真、清水健太郎、鈴木茉侑、丸山怜子、松下眞子、龍田香菜美、平井美羽、木ノ村茉衣、巽千夏、矢吹日和子、栗林衣李、上原帆海、北澤華蓮、  ピアニスト 守重結加、稲生亜沙紀

べートーヴェンのヴァイオリンソナタ名曲集(No.1,3,5,7,9)を若手演奏家の13人がリレー方式で演奏をする。 一人1楽章または2楽章をそれぞれ演奏しました。24歳以下、大学生以上の東京藝術大学の大学生、大学院生が運営にも携わりました。
 このコンサートを通じて、ベートーヴェンが残した大きな遺産である、ヴァイオリンのソナタのレパートリーを研究し、日暮里サニーホールにおいてその成果を発表するもの。3月11日には、偶数番号(No.2,4,6,8,10)を発表します。

 個々のキャラクターの違いが、ベートーヴェンという一つの流れに乗ることで、より一層個性が見え、また作曲順に並べることでベートーヴェンが挑戦したかった世界浮き彫りになりました。

どれか一つにでもご来場くださった方々、応援くださった方、本当にありがとうございました。

来年もたくさんのコンサートを企画しています。見てくださったら幸いです。

▶︎早速の2022年は、2月公演!!!

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