廣澤大介さんとファンクラブ交流会
「人が感動するのは、何も成功した姿をみるときではありません。むしろ壮絶な苦難と対峙しながら、たとえわずかでも一歩一歩歩みを進める姿に、その足跡に、私たちの魂は揺さぶられるのです。」
これは廣澤大介さんのファンクラブ通信に書かれていた、言葉です。
私の魂が揺さぶられるのはどういう時なのか。その理由は、まったく、本当に、こういった理由です。
大介さんを囲む会
10月12日(金)大阪の島之内教会というところで、大介さんを 囲む会がありました。
前半は大介さんと 彼のお母様による、歌おうコーナー。後半は私と夫の植村太郎がそれぞれピアニストの榊原契保さんと シューマンやメンデルスゾーンなどを弾きました。
こんなに人間の温かみに触れるコンサートは今までにありませんでした。
廣澤大介さん
廣澤大介さんは とても優しく、素直な37歳の青年です。 障がいを持ちながらヴァイオリニストとして演奏家の道を歩まれています。 ヴァイオリニストの夫である植村が、3年以来ヴァイオリンの師匠です。
年に一度 大介さんはヴァイオリンを舞台で弾くことが何よりの生き甲斐で、また毎回そのコンサートをファンクラブの皆さんは、凄く楽しみにしておりました。(彼の演奏から多くの方々が感動し、元気をもらっていると、わたしはそのコンサートの感想文で拝見しておりました)
ですが、この近年ジストニアとジスキネジアという病気により、手や腕の筋肉硬直が続き、その舞台を諦めなければいけませんでした。(大介さんは自閉症に加え、3つの病気を抱えられているので治療が難しい状態。)
音楽をしたいのに、諦めなければいけない、、その決定にどれだけの葛藤があったか、どれだけ悔しかったか。。「泣いて荒れた」と、自身のお気持ちがファンクラブの会報に綴られておりました。
受け入れられるまでの時間、私たちの想像を優に超えるものだったと思います。
大介さんの事を、200人ほどの会員さんが応援しています。(200人の会員がいるファンクラブって、クラシック界では、すごいことです。)
この日島之内教会には、今の姿を一目見ようと、また、大介さんに会いたいと思う人々が沢山の方がかけつけました。
彼がピアノを弾き、会場のみんなで歌う 「見上げてごらん夜の星を」は 星に救いを求めて 上を見上げると、その光が自分を照らし、その星が自分の運命を祈っている。その歌詞の通り、彼の存在のようでした。
普通なら手の不自由からピアノは弾けないような状態でした。でも大介さんは心で、音楽をしているから、音になる。 音楽に救われる姿を見て、音楽で生き生きされる様子を見て、様々な人が元気や勇気をもらい、実際に涙していました。
ほんとうに凄いなと思ったのですが、自分がどれだけ大変な状況にあろうと、他の方へのご配慮を忘れない。
この日コンサートに来てくださったファンの方に、「腰の調子は最近どうですか?」「お孫さんはお元気ですか?」「会えて嬉しいです」。大介さんの優しさに、みんなの喜ぶ表情。
また、私たちが舞台に向かう際には「ありがとう」って、声をかけてくれました。
大介さんが周りの方に与える 光や温かみはとても素直で、他の誰にも、何にも変えられないもの なのです。
夫と契保さんが演奏するときには 10センチくらいの至近距離まで出てきて、念を送るかの様に、ヴァイオリンのシャワーを浴びていらっしゃいました。 その姿は、言葉でいうより大きな声で「師匠として、ヴァイオリニストとしてすごく尊敬している。」とおっしゃっているようでした。正直なそういった姿も、見ていて周りが温かい気持ちになりました。
大介さんがまた、ヴァイオリンを弾けるようになる事を、会場にいらっしゃる人みなが応援し、願っていました。
応援する気持ち
誰かのことを応援する。その気持ちは、純粋で、ものすごく温かいものです。会場のみなさんがその気持ちで集まっていた。
音楽家は誰しもそういう応援を受けているのではないでしょうか。音楽家だけじゃないかもしれない。お金にならない分野で、一生懸命「道」を歩んでいる方々は、みなその気持ちを、その支援を受けたことがあると思います。
私もそういった、ピュアな応援を沢山受けたし、今も受けています。だからよくわかる。
大介さん!幸運にも、諦められませんね!
また舞台でヴァイオリンを弾いてくれる日を、わたしも心待ちにしています。
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