絆と縁と三密

Special Chamber Concert vol.5終演いたしました!

ご来場くださった皆さま、本当にありがとうございました。

©︎山本もも

師弟関係

今回はそれぞれに師弟関係という実験的な公演でした。

集まってみると、それぞれの恩師生徒ペアがなんとも微笑ましい!

萩原さんは藝大4年で1年間植村門下でした!
私は京芸時代、2年間由美子先生にヴィオラを習いました。
山内くんのチェロの出会いは荒井さん!チェロの演奏を聴いたのも、荒井さんが初めてだそう。

 若い人たちとやることで、若い世代の室内楽の発展に助力できたらと陰ながら思ってはおりますが、それより何より!!

 私たち自身も若いエネルギーをもらい、素直に成長したいという気持ちは何より、清々しい気持ちにさせてくれました。おはぎちゃん、山内くんありがとう。

 先生にとっても生徒と弾くのはとても嬉しいことらしく、(私はそのような経験がなかったので、生徒として先生と弾かせていただくことが、申し訳ない、おこがましいとしか思いませんでしたが、先生となってみると、嬉しいものなのですね!)私自身も、今教えている子たちと、いつか一緒に共演できるように、そのときまで弾いていられるように頑張ってやっていこうと目標ができました。

©︎山本もも

 レッスンでの充実した時間、癒されていた時間(私は由美子先生に癒しを頂いていたことが本当に多い、不出来な生徒でした)、そんな歩んだ時間が何度となく蘇り、ユニゾンやハモりで音が重なる時はもうぅぅぅぅぅ〜〜〜言葉にできない・・ハモることも同じ音を弾けるなんて、とても嬉しく、何度も胸に込み上げるものがありました。ハモりの音が気持ち良いっていう感覚、わかりますよね。

 師弟関係のペアでもあったからこそのハーモニーが作り出された気がします。この若きブラームスの作品を通して、そういった時間を共有できたことが何より幸せでした。

©︎山本もも

縁と絆と三密

 目に見えな大切なもの、絆や縁。それは今年一年誰しもが必要だったもので、枯渇しているものではないでしょうか。

私たち音楽家にとっても大変な一年でしたが、誰もが気遣い、気苦労の絶えない年だったと思い、来てくださった方のわずかでも癒しになればと、心底願いました。 

 あれだけダメだと言われる三密も、音楽の中では存分に楽しんでもらいたいと、濃密、密接、親密な、思い切り三密な音楽を。

シューベルトとブラームス

前半に弾いたシューベルト…シューベルトがどんな時も隣にいる友人に寄り添い大事にしていたこと、シューベルトの生涯の励ましの存在となったシューベルティアーデが生まれる所以がよくわかる作品でした。大志を抱きながらあらゆる夢は叶わなかったシューベルトですが、その愛情はとても懐が大きく愛らしかった。 私は、そんなシューベルトにとても共感し、愛情を感じます。

ブラームスのラブレターを見てください。これはプログラムにも載せた、私もお気に入りのもの。クララ・シューマンに宛てたものです。

毎朝僕に『おはよう』と電報を打ってくださいませんか…あなたなしにはこれ以上長く耐えられそうにありません」(1854年10月)

「あなたを思い、あなたの手紙を読み返し、あなたの写真を眺める意外に、何にも手につきません。一体僕をどうなさったのでしょうか。」(1855年1月)

「どれほど、あなたにお会いしたく思っていることか!…どんな物音を聞いても窓辺に駆け寄ります。あなたのことばかり追い続けているのです。お願いですから、僕を忘れないでください。」(1855年3月)  

20歳をすぎた頃のブラームスがクララに書きましたが、ブラームスがこのような熱情を生涯秘めていたこと、このような熱情の持ち主だった事を、私たちはいつも忘れるわけにはいきません。
この六重奏曲第一番はアガーテとの関係が切っても切り離されないと言いますが、ブラームスの内なる心はこのようにいつも熱く熱く燃え上がっていたんだなと、そんなことがわかる一曲です。

そう、絆と縁

恩師と生徒のコラボレーション…お客様みなさまそれぞれの恩師との思い出を振り返る機会にもなったようで、感動のお声を頂戴しています。私たちの意図したもの以上の見えないところでの感動が、たくさんの方の心を動かしていたようで、何より嬉しく感じました。

 絆や縁の大切さを感じる時間は予想以上に嬉しく、またその化学反応で起こる感動はお客様にしっかりと伝わるものだと改めて感じています。

 終演後は、本当に良い演奏会だったと、会場から声が漏れていたとお客さんからの報告があったり、良い顔で皆様帰られていったとスタッフの方の報告があったり・・お出迎えはできませんでしたが、皆様が受け取ってくださったお気持ちだけは伝わっております。本当に、ありがとうございました。

©︎山本もも

アンケート

アンケートにご協力くださりありがとうございます。特に、ここのところブラボーの掛け声はダメ、お出迎えもダメ。。お客様とのつながりがアンケートだけになって来ています。

 提出いただいたアンケートは全て出演者全員で読ませていただきました!

温かいお言葉や言葉の端々に皆様の応援の言葉やお気遣いが!!

ご記入ありがとうございました! いいえ   こんなところにまで気づかなかったです・・

また昼夜公演どちらもいらっしゃったというお客様も・・

皆様、ありがとうございました。

師弟関係でコンサートやろう

由美子先生が2020年3月にひっそりと退任されたこと、本来なら生徒集まってお祝いをしたいと思ってたところ、その計画さえできずに過ぎてしまった春…心残りに感じていました。 由美子先生の音を聴いていただいて、お客様とともに、拍手で退任をお祝いしたい。そんな思いとは裏腹に、感染症は収まらず門下で集まることさえできませんでした。

お客様に演奏を聴いていただき、先生にお祝いしたかった。私と同世代の由美子門下、杉中景子
・矢島千愛・細川泉・倉垣瑞穂・中野祥世・江口純子・木田佳余・佐本博子・三宅恵・大海佳之
と私でお送りしたお花束!!

 また一方で、夏頃から少しずつ演奏活動が再開され、室内楽奏者である私たちもぼちぼち仕事が入ってくるようになりました。夏から秋にかけては、割と忙しく演奏会をするようにもなってきました。戻ってきた日常に安堵するも、ふと気付くと、夫の生徒であるたくさんの大学生たちは、秋先にも多くの行事が奪われ学校でのリハーサルは出来ずと満足な生活が出来ない様子を見て、心痛めて見ておりました。 

 特に室内楽奏者として活動する人たちにとっては大学の4年間、大学卒業してから様々な現場に行って経験する修行期間というのはどれだけ大事な時間か。 私は少なくとも、その大切で貴重な時間があったからこそ、今の自分があると言える…そう思い、今回のコンサートは、舞台の機会が格段に少なくなっている若手に声掛けしようと思い至りました。

 当事者である彼らに、この事態が普通であるとも思ってほしくないと思いました。これから先少しずつ全体的に音楽の仕事は減るだろうと思いました。(不景気で真っ先に影響受けるのは、いつも芸術や文化であることは違いありません。) 卒業したのに仕事がない・・学生続けるにも収入がない・・その理由が自分たちにあると、考えてしまう若者が増えてしまうのではと、(また老婆心ですが)心配しました。

 今のこの事態を乗り切るために、若い人たちにスポットライトを浴びて欲しい。意見を言って世の中を切り開いて欲しい。そう思い京都でコンサートをすることにしました。

 植村にも荒井にも、京都ゆかりの研鑽中の門下がいるということですぐに話が進みました。

©︎山本もも

この企画、大好評でした。 

 もっと沢山のに聴いて欲しかったとの声もあるし、私たちも大きな大きな意義を感じられたので、続けてやっていきます。1年に1回くらい!?できるかな・・

紹介したい若手室内楽奏者はたくさんいるので、レパートリーの方が先になくならないか心配なくらい・・ 楽しみにしていてくださいね!

 

インタビュー是非見てください^^

貴重な言葉がずらりと学びます。皆それぞれの生き様がとてもかっこいい。

萩原安里紗さん・山内睦大さんへのインタビュー記事、山本由美子先生へのインタビュー記事、見てくださったら幸いです♪

さて最後に・・

感染症と演奏会。簡単なことではありません。

今回の公演は以下の助成があって成り立ちました。

京都府文化活動継続支援補助金 助成事業

京都市感染拡大防止と文化芸術活動の両立支援補助金 

感染拡大防止等経費補助』

『施設使用料等補助』

NPO法人 イエローエンジェル 

感染症拡大防止のため二公演にしたり、ディスタンスを取りながらの公演、スタッフの増員に予想以上に経費がかかり、これらの助成金をいただいた上で、尚且つ入場料も通常より500円多くいただく形で、開催できることととなりました。

京都は文化に対する理解が厚く、十分な支援策が講じられているとは思います。

ですが、感染拡大防止等経費補助は一度の申請しか認められず、次回から感染対策のためのスタッフ増員は主宰者の負担となります。また、これらの助成金は2月・3月までの支援策です。 春以降も感染症を心配しながらの公演となることは目に見えています。引き続き、なんらかの形で行政が支えてくれることを願って・・

次のSpecial Chamber Concert 2021年3月25日(木)府民ホールALTIにて、京都弦楽四重奏団に中恵菜さん、辻本玲さんをお招きしブラームスの弦楽六重奏曲第二番をお送りします!詳細はそのうちアップしますが、チケット発売は1月28日の予定にしております。

どうぞお楽しみに!

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