楽器を習う
私は4歳の頃からヴァイオリンを始め、そのころから楽器を習うことは勉強するのと同じことでした。「上達しなければいけないミッション」の一つ。ただただ難しいだけだったらすぐにやめていただろうけど、幼少ながらにその世界の美しさに惚れこみ、憧れを持ったんだと思います。
楽器を弾くだけじゃなく、音楽によって人とつながることができる。それが今思う音楽の一番の魅力で、私がこの世界に感謝している点でもあります。スポーツも同じだと思いますが、何か一つの苦労する分野で誰かとつながるとそれはどんな垣根も越えて理解できるようになる。また理解しようと努力するようになる。
ただ単に楽器を弾くということ以上に、たくさんの意味があるんですよね。
先日、定年後何しようなどと考えられている方とお会いし、楽器をお勧めしている自分がいました!!ヴァイオリン・ヴィオラを弾きながら、私は実は楽器を習うということを、人に易々とお勧めなんぞできませんでした。長い間です。私自身の経験は苦労も多いし、簡単にはできないことを知っているから。(やりたい気持ちがすごく沢山ある方には別ですが。)
それが最近自分の中でも変わってきたようです。それは、この松戸市シニアアンサンブルの方々との出会いと、彼らが楽しそうに楽器を弾く姿を見たから・・かもしれません。
松戸シニアアンサンブル アモーレ
2019年4月に共演させて頂いた松戸シニアアンサンブルさん。(ブログに私のことも書いてくださっています)
出会いのきっかけは2010年(多分)の春、母と共にフランス旅行にいった先でたまたま同じところで食事していたご夫婦。そのレストランには私達しかおらず、きっと日本から来られたんだろうなと私も母も「とても良い感じのご夫婦やなぁ」とこっそり話していました。食事が終わってご夫婦が私達の方へ来てくださいまして、お話を少し交わし私が音楽留学をしている事を告げると、旦那様がシニアアンサンブルを立ち上げて今フルートを吹いています、とのこと。
その後も幾度かメールや年賀状のやり取りをさせて頂き、その帰国のタイミングが合った時には定期演奏会を聞かせていただき、その後又時を経て今年4月に一緒に弾きましょうという運びになりました。ご縁というのは不思議なものです。
松戸シニアアンサンブル練習へ参加
昔から楽器を弾かれていた方や、60歳からヴァイオリンを始めた!なんて方が一緒に弾かれているのですが、驚くほどに一生懸命に楽譜を読み込んでいらっしゃいました!!!指揮の吉元貴弘さんのおっしゃることを音にしようと、書いてある音符を忠実に弾けるように。「あ~!まちがえた~」「うぅぅ弾けない」「こりゃ難しいんや」などと言いながらひたむきに頑張るその姿に私は感動し、リハーサルも休憩も本番もとても楽しい時間を過ごしました。
みなさん練習を録音して、それを家でも役立てているのだとか。
アマチュアのアンサンブルやオーケストラの方っていうのは、音楽をするために時間を作る努力をし、また音楽をするためにわざわざそこに集まっている仲間です。だから音楽を通して知り合ったその仲間の大切さというのもよくわかっている。
音楽が
生き甲斐
大切で基本的なことをまぶしいくらいに見せてくださいました。
私は音楽を仕事として生きていますが、その一瞬一瞬の大切なきらめきを忘れる事があります。質も上げるためには時間も必要で、曲一つ見るのも時間がかかる。プレッシャーと時間に追われているのが現実でしょうか。大反省です!
休憩中にはいつも誰かからのお土産など何か特別なお菓子が配られ、皆のモチベーションを一気に上げていました。そのあたりの計算はさすが、皆さんよくわかっていらっしゃる。
頑張ったご褒美も大事です。
2019年4月7日
皆さんと一緒に弾いたのは「真田丸」、「トゥーランドット」(ご指導されている吉元貴弘さんの編曲)や「ワーグナー:マイスタージンガー序曲」など。
特にみなさんと一緒に弾いたトゥーランドットは今も思い出します。「これは苦労すると思っていたんで皆さんで挑戦です~」と指導者の吉元さんがおっしゃっていましたが、豊かな情感が伴い楽譜には書かれない揺れがたくさんある曲。確かに理由のつかない揺れは表現が難しいけれど、本番は感動的な瞬間を生んでいました。本当に素晴らしかったです。
定期演奏会は2回の休憩をはさむ3部構成で、2部にはサラサーテのカルメン幻想曲(実はこれもリクエストに入っていて、苦労しました)などをピアニストの稲岡千架さんと一緒に30分弾かせて頂きました。
楽器を満足に弾くまでは長い道のりかもしれないけれど、良い仲間に恵まれたら幸せです。
おまけ**9月7日に行ったコンサートで足を運んでくださった松戸シニアアンサンブルのメンバーの方からのプレゼント。思い出をマグカップにしてくださったそうで、わたし朴は感無量でした。
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